仏果を得ず

一体の人形を三人一組で操り、義太夫の語りと三味線の音に合わせて物語を展開する。
それが「人形浄瑠璃」または「文楽」と呼ばれる伝統芸能です。
この作品では、そんな伝統芸能の中で奮闘する青年が主人公の青春物語になります。
主人公の健は人間国宝・銀太夫の弟子として師匠の語りに耳を傾け、自身の芸を磨く日々を送っていました。
そんな健に銀太夫が兎一郎と組んで「女殺油地獄」を語れと言います。
今まで挨拶しか言葉を交わした事がないし、周囲と積極的に関わらない兎一郎と組めと言われ、健は戸惑います。

兎一郎も決まった太夫と組みたくないと言いますが、既に互いの師匠は了承している。
この世界において師匠の言葉は絶対なので、健は公演に向けて自分から兎一郎に声をかけていきます。
そうして練習の漕ぎつけても、兎一郎は自分がやった演目が納得できないと、健の言葉を聞かず三味線で違う演目を弾き始めます。
そんな日々の中で、健は一人の女性に出会い恋をします。

芸と恋に悩む健の姿が目に浮かぶようで、非常に面白かったです。
また、伝統芸能を扱っており、文中には専門用語が出てきますが、知らない人でも楽しめる様に説明があるので読みやすいです。

初版:2007年11月/双葉社
文庫版:2011年7月/双葉文庫

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