星間商事株式会社社史編纂室

主人公の「川田幸代」は会社の歴史を本にする「社史」を編纂する部署に勤め、真面目に仕事をしている「普通の女性」となっています。
しかし、実際は高校時代から友人と一緒に同人活動をしている「腐女子」なのです。
会社では定時に仕事を終わらせ、たまに趣味のサークル活動に励み、急にいなくなる彼氏の様な男性と過ごす日々が彼女にとって幸せでした。
しかし、ひょんな事から彼女の上司に小説を書いている事がばれてしまい、そこから何を思ったのか上司が「同人誌を作ろう」と言いだしたのです。
更に社史を作る最中に編纂室に脅迫めいた手紙が送られてきたのです。

ただの社史を出す筈だったのに、いつの間にか物語は意外な方向に進んでいきます。
作者である三浦しをんさんも、数多くのエッセイで少年同士の恋愛が扱った「ボーイズラブ」が好きだと明言しているので、主人公の女性像は特に驚きませんでした。
しかし、そんな趣味を前面に押し出した様な内容で、会社の隠された歴史を探る話しなるとは思いませんでした。

また、同人誌を作る発端となった本間係長、幸代の同期となる矢田信平や後輩のみこっちゃんも最初は「変な人」とした思わなかったのに意外な見せ場があって面白かったです。
ただ「同人活動」や「コミックマーケット」など昨今の「オタク文化」も出ているので、純粋な恋愛小説を読みたい人は別の作品をオススメします。

初版:2009年7月/筑摩書房

まほろ駅前シリーズ

神去シリーズ

小説一覧

エッセイ一覧

インタビュー集

このページの先頭へ