むかしのはなし

本書は全七話の短編で構成されています。
その一つ、一つが「昔話」に絡んだ話なっています。
使われている昔話は順番に「かぐや姫」、「花咲か爺」、「天女の羽衣」、「浦島太郎」、「鉢かつぎ」、「猿婿入り」、「桃太郎」になっています。
最初の二つだと、まるで短編小説を読んでいる気分になります。
それ位に繋がりが見えない話が、段々と繋がっていくのです。
また、この話の核になる設定が凄いですね。
まだ未読の人もいるかもしれませんが、この設定を書かないと本書の感想も書きにくいのでご了承ください。

「三ヶ月後に地球に巨大な隕石が衝突するので、脱出用のロケットが用意された。ただし、優先される人員以外は抽選で選ぶ。」

これが他の話を繋ぐ設定です。
最初の話では地球滅亡の気配が全くないので、この設定が出た時の衝撃は凄かったですね。
こんな設定なら登場する人々は、もっと騒いでもいいと思うのですが話は静かに進行していきます。
その静かさを怖いと感じることもあります。
しかし、その一方で最期が分かっているなら冷静になるかもしれないとも思いましたね。

また、この連作のテーマが面白いですね。
現代で「昔話」が生まれるとしたら、昔に生まれた「物語」が語られることによって「昔話」になった様に突飛な設定の中で生まれた「物語」を登場人物達が語ることで紡いでいく。
それが時を経ても語り継がれれば「昔話」になるんでしょうね。

初版:2005年2月/幻冬舎
文庫版:2008年2月/幻冬舎文庫
コミック版:第一巻・2013年5月/バーズコミックス

収録作品:ラブレス / ロケットの思い出 / ディスタンス / 入り江は緑 / たどりつくまで / 花 / 懐かしき川べりの町の物語せよ

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